(キーワードから見る)家族のかたちと相続対策・その2「おふたりさま②」|佐賀・福岡の税理士タマツ

2020-03-14

(キーワードから見る)家族のかたちと相続対策・その2「おふたりさま②」|佐賀・福岡の税理士タマツ

前回の続き、おふたりさまに配偶者以外にも相続人がいる場合を見ていきましょう。

 

死亡した配偶者に親(祖父母)がいる場合。
おふたりさまのため、子どもや孫がいないことが前提です。
この場合、配偶者と親が相続人となり、相続分はそれぞれ3分の2、3分の1となります。

 

これは非常に問題が起こりやすいケースといえるでしょう。
両者のあいだには血縁がありません、両者をつなぐ子ども(親にとっての孫)もいません。
配偶者の生前、いくら良好だった関係も、それが突如崩れるという事案には事欠きません。
嫁姑の関係の難しさ等、よく聞く話です。

 

遺産分割協議の苦労は、並大抵のことではありません。
配偶者の親が高齢の場合、認知症を患っている可能性もあります。

 

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どうすれば、こうした事態を回避できるでしょうか。

 

まずは、遺言書の作成です。
全財産を配偶者に相続させるよう遺言しておけば、最悪、負担は6分の1で済みます。
被相続人の親等の遺留分を考慮したものです。

 

次に、生命保険の活用が考えられます。
死亡保険金は、受取人固有の財産とされ、原則、遺留分の計算の基礎となる財産とはなりません。
遺留分侵害額請求があった場合、死亡保険金を充てることも考えられます。
なお、相続税の計算にあたっては、死亡保険金は税額計算の対象となります。

 

生前贈与も活用すべきでしょう。
夫婦のいっぽうが財産を偏って持っている場合に、できるだけ多くの財産を配偶者に残したいとき。
持っているほうから持っていないほうに、できるだけ贈与します。

 

たとえば、夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除を利用して贈与を行います。
それにより、原則、遺産分割における配偶者の取り分を増やすことができます。
利用価値の低い特例と考えられていますが、配偶者に多く財産を残したい場合には使えるでしょう。

 

なお、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は相続税の規定であり、使うことができません。
不動産取得税等も考慮する必要が生じるため、慎重な検討が必要です。

 

もちろん、基礎控除等を考慮しながら、こつこつと贈与していくことも有効です。
生活費等も、できるだけ多く持っているほうが負担するようにします。

 

相続税については、遺産分割協議がこじれ、申告期限までに財産が未分割の場合が問題です。
10カ月以内の申告期限と申告期限後3年以内の分割見込書の提出に留意する必要があります。
2020年4月施行の配偶者居住権の活用も、考えておきましょう。

 

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死亡した配偶者に親(祖父母)がおらず、兄弟姉妹(甥姪)がいる場合。
相続分は、配偶者4分の3、兄弟姉妹(甥姪)は全員で4分の1です。

 

このケースで、配偶者だけにすべての財産を承継させたい場合、その旨の遺言書を作成します。
親の場合とは異なり、兄弟姉妹には遺留分が認められません。

 

 

 

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(注) 当サイトの情報は原稿執筆時におけるものです。

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