前回は、おひとりさまが相続人となるケースを見ました。
今回は、おひとりさまが被相続人になる場合です。
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結婚していないおひとりさま、または配偶者が死亡しおひとりさまになった人が被相続人となる場合です。
ここでは、便宜上、非婚・死別によるおひとりさまとします。
相続人がいる場合、相続人の把握が重要です。
まず、第1順位の子(孫)。
非婚・死別によるおひとりさまの場合、配偶者はもちろん、子・孫についても、通常、考える必要はないでしょう。
第2順位の親(祖父母)が相続人の場合、遺産分割に関して問題が生じることは少ないでしょう。
被相続人に兄弟姉妹がいても、兄弟姉妹は相続人にはなれません。
ただし、相続税や財産管理については、問題が生じる可能性があります。
相続税で考えられることとして、被相続人であるおひとりさまが相続時精算課税制度を適用していた場合があります。
相当に難しい事例のため、ここでは、詳細は割愛します。
財産の管理については、相続後の親の負担は大きなものとなるでしょう。
おひとりさまが別世帯だった場合など、特に不動産がある場合はたいへんです。
親が認知症等で、財産の管理が困難となることが考えられる場合。
遺言書を作成することにより、兄弟姉妹等に財産を承継させることも考えられるでしょう。
遺留分を考慮する必要がある難しいケースですが、家族信託等が解決策となるかもしれません。
なお、子が被相続人、親が相続人となるケースについては、別途、詳細に取り上げたいと思います。
第3順位の兄弟姉妹(甥姪)が相続人の場合、遺産分割協議はスムーズには進まないかもしれません。
親戚関係が遠くなってくると、だれが手続きをするのかといったことでももめそうです。
また兄弟姉妹等が相続する場合、相続税額の2割加算の適用があり、税負担が重くなります。
なお、配偶者との死別によりおひとりさまになった人が亡くなる場合。
配偶者から引き継いだ財産とおひとりさま固有の財産、あわせての相続となり、税負担が増します。
2次相続の典型です。
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多くの人は、おひとりさまについて、その財産等はもちろん、考えていることもよくは知らないものです。
だからこそ、おひとりさまは、生前にその財産等をどうするか考え、遺言書等を残しておく必要があります。
特に財産以上に債務がある場合、相続放棄の判断材料として、その事実を伝える責任があるでしょう。
相続放棄の期限は、被相続人の死後、原則3カ月以内です。
おひとりさまに相続人がおらず、遺言書が残されなかった場合。
財産は最終的には国庫に帰属することとなります。
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最後に、離婚しておひとりさまになった人が死亡するケース。
この場合、婚姻関係が解消している離婚相手が相続人になることはありません。
離婚相手との間に子がいる場合、子は第1順位の相続人となります。
その子に相続で苦労をさせないためにも、やはり遺言書を活用しましょう。
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