(キーワードから見る)家族のかたちと相続対策・その1「おひとりさま①」|佐賀・福岡の税理士タマツ

2020-01-25

(キーワードから見る)家族のかたちと相続対策・その1「おひとりさま①」|佐賀・福岡の税理士タマツ

家族の構成が、大家族から核家族中心に推移し、さらに単身世帯が増加しています。
より小さな世帯が増え、まったく新しい相続関係が生じつつあるようです。
そこに生じるだろう相続とその対策を、事例をとおして見ていきます。

 

*****

 

キーワード「おひとりさま」

 

結婚せず、ひとりで充実した生活を送っている女性を捉えて、おひとりさまと称するようになりました。
ここでは対象をより広げて、結婚しておらず、子どもがいない男女を総称して、おひとりさまとします。
また、離婚・死別により婚姻関係がなくなり、ひとりになった場合も含めています。

 

50歳まで一度も結婚をしたことがない人は、男性の4人に1人、女性の7人に1人だそうです。
4人に1人が一人暮らし、これは30年前の約1・5倍。
経験的にも、おひとりさまが登場する相続案件は確実に増えています。

 

*****

 

まずは、結婚していないおひとりさま、または配偶者が死亡しおひとりさまになった人が相続人となるケース。

 

シンプルな事例として、一人っ子のおひとりさまの親の2次相続を見てみましょう。
遺産分割、相続税、財産管理という観点から確認します。

 

相続人はひとりなので、遺産分割の問題は生じません。
相続にまつわるさまざまな手続きは、基本的にはひとりで行わなければなりません。

 

相続税はひとりで負担することになるため、納税資金の準備が必要でしょう。
また法定相続人が1人のため、基礎控除や生命保険金等の非課税が小さくなります。
特に相続財産が不動産中心の場合は、要注意です。

 

なお、不動産については、遺産分割の考慮が不要という観点からは、小規模宅地等の特例を適用できる可能性が大きいでしょう。
税額に大きな変動が生じるので、ぜひとも親の生前に対策しておきたいところです。

 

親の財産の管理についても、考えておきましょう。
老老介護が問題となっているように、おひとりさまが高齢となった場合、それが重荷になることもあります。
認知症を患っている場合や、離れた場所に暮らしている場合はなおさらです。

 

場合によっては、成年後見制度や家族信託の利用も検討することになるでしょう。
おひとりさまの子を持つ場合、親としても、これらの利用もあわせ、元気なうちに準備しておきたいものです。

 

*****

 

おひとりさまに兄弟姉妹がいるケースは、遺産分割で問題が生じやすいかもしれません。
特に問題が生じやすいのが、兄弟姉妹のなかで、自分だけがおひとりさまというケース。

 

兄弟姉妹といっても、行き来がまったくないことも多々あるでしょう。
ただでさえ、それぞれの生活のことは、イメージしにくいのです。
おひとりさまの生き方考え方は、そうでない人には理解しづらいようです。

 

ひとりだったら自由がきくでしょう、と親の介護を任されっぱなしだったり。
逆にひとりだからこそ、親元を離れてひとり暮らしをしていたり。
そうしたことが遺産分割をこじれさせることは、しばしばあります。

 

*****

 

最後に、離婚しておひとりさまになった人が、親の死亡により、相続人になるケース。
基本的には、非婚・死別によるおひとりさまと同様の考え方でよいでしょう。

 

ただし、離婚相手との間に子がいて、その子にも財産を引き継がせたい場合。
おひとりさまの親の遺言書があれば可能です。
おひとりさまに兄弟姉妹等がいる場合は、遺留分の問題が生じる可能性があります。

 

 

 

佐賀・福岡の相続・会計・税務は税理士事務所タマツ(田松貴志)にお気軽にご相談を!

(注) 当サイトの情報は原稿執筆時におけるものです。

This entry was posted in ちょいトクブログ. Bookmark the permalink.