残りの2本は、まさしくクラシック。
『ビリー・ザ・キッド』(キング・ヴィダー)
『人生劇場 飛車角と吉良常』(内田吐夢)
どちらもアウトローの映画です。
義侠心ある主人公、ビリー・ザ・キッドと飛車角。
ふたりには、年の離れた理解者、パット・ギャレットと吉良常がいます。
何度もリメイクされています。
まずは、ビリー・ザ・キッド。
いままでに2本見たことがあります。
ハワード・ヒューズ監督の『ならず者』、サム・ペキンパー監督の『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』です。
ペキンパー作のタイトルのとおり、その伝説的なガンマンは、21歳で亡くなります。
12歳で初めて、以降、21人を殺したという、実在の人物です。
2019年に見たのは、1930年、キング・ヴィダー監督のもの。
ビリー・ザ・キッドの最初の映画化のようです。
21歳の死に破滅的な結末を予想しますが、なんとハッピー・エンド。
ジョン・フォード監督の『三人の名付親』のような驚きでした。
ベーコンのにおいにつられて捕らえられる、ジョン・マック・ブラウンのビリーも異色。
映画からにおいを感じたのは、フランク・ボーゼージ監督の『第七天国』のりんご以来です。
『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』の原題は、“Pat Garrett and Billy the Kid”。
ペキンパーの作品は、むしろパットに重きを置いているようでした。
キング・ヴィダー版は、“Billy the Kid”です。
こちらのふたりの関係もドライで好みでした。
侠客の飛車角は、尾崎史郎の小説の一登場人物。
1963-64年の沢島忠の3部作、72年の加藤泰、83年の深作欣二・佐藤純彌・中島貞夫版を見ていました。
今回は、1968年の内田吐夢監督作です。
人生劇場は、14本の映画があるそうですが、1936年の初映画化も内田吐夢。
ただし、それは青春篇で、飛車角は登場しません(吉良常は登場しますが)。
飛車角の登場作は、全14作中の約半分ほどのようです。
さて、これまで見た飛車角登場作、どれも傑作でしたが、1968年の内田吐夢版は別格でした。
今回の作品は沢島版のリメイクを企図したということですが、元の3作は以下のとおり。
『人生劇場 飛車角』『人生劇場 続飛車角』『人生劇場 新・飛車角』
題名からも、内田版は、より吉良常との関係に時間を割いていました。
吉良常を弔うことができた飛車角。
いっぽう、ビリーは、ペキンパー版のとおり、最期、保安官パットにより射殺されます。
いまさら挙げるのも恥ずかしい両作です。
映画ファンであれば、当然見ていなければならないものでした。
なお、前回はフランス映画と日本映画、今回はアメリカ映画と日本映画。
洋画と邦画を区別しているわけではありません、偶然です。
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