日本で出るごみの量は、年間3億7,000万トン。
10トンダンプで地球11周分だそうです。
スケールが大き過ぎて、なんだかよくわかりませんが。
しかもそれは、本書が書かれた25年前のことです。
著者は、ごみのなかでも厨芥、つまり残飯の出処を追います。
たとえば、白髭おじさんの唐揚チェーン店。
調理場のロスは、POSシステムで2パーセントに減りました。
出すところから調べると、万事この調子。
残飯は出していません。
だとすれば、どうして?
当時の都知事は、緊急事態を宣言したのでしょう?
ごみは間違いなく増えているのです。
見方を変える必要がありました。
「玄関からではなくて、勝手口から覗く」のです。
残飯養豚です。
かつては九州でも、養豚は先進的な農業と考えられていました。
なんといっても、残飯ゆえに、えさ代がタダなのですから。
ところが、ある理由から、それはもはや絶滅寸前とのことです。
そこに、現在も解決できていない問題を見ます。
都市近郊農民にとっての死活問題、新生産緑地法です。
農地を宅地に転用した場合、遡って宅地並課税するというもの。
宅地供給政策として、農業を続けるかやめるかの判断を迫ります。
続けられなかった場合、相続税6億8,000万円という事例も。
かつて都市を浄化した農村を、いまや都市は侵食しているのです。
残飯を端緒に見出したのは、都市化による日本農業の破壊でした。
山下惣一は、唐津出身の農民作家。
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